一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)

沖縄の軍用地に関する問題解決、地主の財産権の擁護及び福利増進を行っています。

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土地連の歩み-通史編

第二節 軍用地等賃貸借契約更新と賃貸料折衝

一 はじめに

沖縄返還協定の発効により、沖縄も本土と同様に日米安保条約と日米地位協定が適用され、沖縄の基地は日米安保条約第六条及び日米地位協定第二条に基づく基地として、そのほとんどの部分において米軍の継続使用が認められることになった。

そのため国は、沖縄返還後の基地を駐留軍に提供する義務を履行するため、復帰に向けて軍用地主と賃貸借契約交渉にあたってきた。その結果、大方の軍用地主から一九七二年(昭四七)五月十五日付けで契約を取り付けるに至った。

以後、国は毎年、軍用地主と契約更新を行ってきたが、賃貸借契約の基本が「駐留軍の用に供する目的をもって・・・」という内容であること及び民法第六〇四条の規定、いわゆる「賃貸借契約の存続期間は二〇年を超えることを得ず」ということから、一九七二年(昭四七)五月十五日に契約締結をした土地については、一九九二年(平四)五月十四日をもって、二〇年の期間が満了することになった。

なお、民法第六〇四条が駐留軍用地の賃貸借契約にも適用があるかについては、第六十八回国会衆議院法務委員会(昭和四十七年四月二十六日)で取り上げられ、前尾法務大臣は次のとおり、政府統一見解を明らかにしている。

駐留軍の用に供する目的をもって国が所有者から賃借している土地の賃貸借は、その期間を、駐留軍が使用する期間とする趣旨のものと解せられるところ、民法第六〇四条によれば、期間の定めのある賃貸借の存続期間は二〇年をこえることを得ずと定めているので、同契約は、その成立後二〇年を経過した時に期間が満了したものと解する。

したがって、同契約の始期が昭和二十七年七月二十八日のものについては、本年七月二十七日をもって期間が満了するものと考える。

しかして、期間満了後なお引き続いて駐留軍の使用の必要がある土地については、契約を更新する必要があるものと考える。

以上のことから、国(那覇防衛施設局)においては、一九九二年(平四)五月十五日以後の駐留軍及び自衛隊用地の使用権原確保のため、軍用地等関係地主と引き続き賃貸借契約の交渉を行うことになった。

一方、沖縄県軍用地等地主会連合会(以下、「土地連」)においては、これまでの軍用地等賃貸料は周辺地価と比較しても低廉であること、原契約書は実情に沿っていない等、多くの未解決事案を抱えていたことから、二〇年に一度の再契約の機会に、当面する諸問題について解決を図ることが最も重要であると考え、その準備をすすめることになった。

よって、本節においては、一連の経緯について、以下のとおり述べることとする。

二 軍用地等賃貸借契約更新に際しての取り組み

軍用地等賃貸借契約更新にあたっては、日米安保条約第六条に基づく地位協定を実施するために、駐留軍への施設提供を余儀なくされていることから、契約更新をせざるを得ない状況にはあったが、土地連としては「前提条件」とする地主側要求が満たされない限り、契約更新には応じられないとの姿勢で対応していくことにした。

そのため、第三十八回定期総会(一九八八年(昭六三)三月三十日)に、運動方針として「軍用地等の賃貸借再契約にあたっては、関係地主の意思を十分に尊重するとともに、適切な措置を講ずるよう要請、その実現を期する」ことを提案し、全会一致で可決、承認を得た。これは土地連として初の賃貸借再契約に関する取り組みであった。

この時期において那覇防衛施設局は具体的に、いつの時点で賃貸借再契約の作業を開始するか明らかにしていなかったが、近日中には作業開始がなされるであろうという状況にあった。

土地連は、前記定期総会の運動方針を受け、具体的行動を展開。先ず初めに傘下二八地主会からなる地主会長会を、一九八九年(平元)六月二十六日から三日間の日程で各地区にて開催し、原契約書等に係る問題点を徴して来た。

先ず原契約書を取り上げたのは、原契約書が民法に基づき双務契約の形はとっているものの、日米安保条約、地位協定の実施に伴いアメリカ合衆国軍隊の用に安定的に供するという国策から、国の一方的(有利)な契約内容で片務的な色合いを持った契約書となっているので、地主は、再三契約内容の見直しを国に訴えたが、一向に取り上げられなかったからである。

そのため、原契約書の一方的な内容のままでの再契約には応ずるわけにはいかないという意見があった。
具体的行動は、賃貸借再契約に際しての「前提条件」を集約するためであり、また、この「前提条件」は今後の土地連方針の基盤となるものであった。

各地区地主会から徴した問題点は、「軍用地賃貸借再契約に関する要望」(「別表」159頁参照)として集約された。

一方、那覇防衛施設局は、土地連が「軍用地賃貸借再契約に関する要望」について検討している最中の一九八九年(平元)九月四日、土地連役員に対し「防衛施設用地賃貸借予約契約について」の説明会を実施した。土地連が予約契約についての説明を受けるのはこれが初めてで、一九九二年(平四)五月十四日の賃貸借契約期間満了まで、二年八ヵ月を置いての契約取付け業務の開始であった。

那覇防衛施設局は賃貸借契約更新及び予約を取付けることについて次のとおり述べている。

沖縄県における防衛施設用地に係る賃貸借契約で、民法第六〇四条の適用を受け平成四年度に期間が満了するもののうち、平成四年度以降も引き続き使用する必要のあるものについては、平成元年度において、契約更新の予約を取付けるよう通達があり、同通達に基づき次のとおり契約更新の予約を取付ける。

一、平成四年度において期間が満了する契約を対象。

契約の始期が昭和四十七年五月十五日から昭和四十八年三月三十一日までの賃貸借契約が対象となる。

二、契約更新の予約取付け方法及び対象者数(約二万八、〇〇〇人)。

  • (一)現在締結中の賃貸借契約で地主会長に権限を委任している所有者(委任契約者)については各地主会をもって、予約取付けを行う。その所有者数は約二万七、〇〇〇人である。
  • (二)それ以外の所有者(個人契約者)については、当局職員が直接予約取付けを行う。

三、平成元年度において契約更新の予約を取付ける理由

  • (一)賃貸借契約更新の対象となる所有者が約二万八、〇〇〇人と膨大であるので、これらの事務処理が短期間では困難である。
  • (二)所有者の中には、なかなか理解してもらえず何度もお願いしなければならない所有者が出てくることが予想されるので、相当の期間を必要とする。

四、土地連への事務委託について

前記二の㈠のものについては、土地連に対し事務委託をするものであるが、その内容は①平成四年度の賃貸借契約の予約(本契約を含む。)に係る同意書、委任状及び印鑑証明書の取りまとめ。②平成四年度の賃貸借契約に関する国と各土地所有者及び土地所有者相互間の意思の疎通を図るための各土地所有者の意思の取りまとめである。

以上の説明がなされた後、役員からは「復帰から今日まで相当の期間が経過し、未解決の軍用地問題が山積している。それを解決しないで予約を進めるのは問題があり、到底了承出来るものではない」「平成元年十一月一杯の予約取付けは、時間的に不可能」等の質問、意見が提起された。
それに対する那覇防衛施設局の回答(説明)は、要約次のとおりであった。

  • 一、予約契約の取付け期間は、平成元年九月から開始して十月末までを目処とする。
  • 二、予約契約書の内容については従来どおりの書式による。
  • 三、予約契約取付けに関連して、土地連を通じ事務委託費を交付する。
  • 四、協力謝金について、予約契約の取付け時の今年度予算には予定されなかったが、予約契約が完結する平成四当時には、何らかの方法が考えられるかも知れない。
  • 五、本契約の締結に際しての賃貸料の見直し等については、年次これをやってきていることから、特に大幅な見直しということは確約できない。

以上のように那覇防衛施設局は、予約契約取付け期間を平成元年十月末までの短期間を目処とした。その理由としては「所有者の中にはなかなか理解してもらえず何度もお願いしなければならない所有者が出ることが予想されるので、相当の期間を必要とする」との説明であった。

すなわち、契約に同意しない地主の確認を同十月末までに行わなければ、継続使用する土地について駐留軍使用特措法の適用による使用権原確保及び不用土地の返還手続きに間に合わないからであり、そのためには相当の期間を要することから、同年十月末という短期間設定となったことは明らかであった。

那覇防衛施設局においては、この時点までに、復帰後二度(一九八二、八七年)にわたって未契約地主の土地について駐留軍使用特措法を適用し使用してきた経緯があったが、いずれも収用委員会の裁決を得るまでには長期間を要していた。そういうことから、那覇防衛施設局が契約取付け期間を短期間に設定したことは考えられないわけではないが、実際の取付け業務に携わる地主会にとっては、大きな負担を伴うことになった。

那覇防衛施設局からの賃貸借予約契約の説明を受け、役員会は今後の日程として、一、「軍用地賃貸借再契約に関する要望」を早急にまとめ那覇防衛施設局に提出する。二、「協力謝金」についても具体的に検討していくことを確認。また那覇防衛施設局が早い時期に各地主会に対し、賃貸借予約契約についての説明を行いたいという意向を汲んで、地主会長会を開催し、説明を求めることを決定した。

また、この地主会長会開催は、土地連においても現時点の状況を周知させるとともに、その意思を早めに確認し、今後の折衝に生かしていくという点からも必要なことであった。

一九八九年(平元)九月十一日、土地連は地主会長会を開催。那覇防衛施設局から先の役員会と同様「防衛施設用地賃貸借予約契約について」の説明を受けた。地主会が平成四年度における賃貸借契約の説明を受けるのはこれが初めてで、会議には各地主会長のほか事務局職員も参加した。

「地主会」は、直ちに地主個々と接触する立場にあり、会長は、地主個々から賃貸借契約の委任を受け、主な業務としては毎年度の賃貸料振込みや契約更新のための同意書取付け等を行っている。よって、地主個々から直接、契約取付け業務を行う立場にあった。

そのことから、契約取付けに関わる具体的な質問及び意見が活発に出されたが、那覇防衛施設局からは、先の役員会と同様の回答しか得られなかった。

しかし、那覇防衛施設局はこの賃貸借予約契約取付け説明を行ったことにより、平成四年度以降の土地使用権原確保に向け、大きく前進することになった。一方、土地連は今後、予約契約取付け業務を受諾するにしても、契約書等の問題解決がなければ応じられないということから、地主会長会終了後に開催された役員会で今後の方針として、「軍用地賃貸借再契約に関する要望」を早急にまとめ要請していくことにし、その際、措置できないものがあれば「覚書」等の形で措置してもらうよう要請していくことを再確認することになった。

また、同日の役員会では、那覇防衛施設局から提示された「防衛施設用地賃貸借契約の更新事務の委託」(那覇防衛施設局長から土地連会長宛文書)も議題として取り上げ審議された。

同委託事務文書は、賃貸借契約事務の一部を土地連会長に委託したいが、異議がなければ来る九月三十日までに返事を願いたいとし、要旨内容は次のとおりであった。

一、内 容

・平成四年度の賃貸借契約の予約(本契約を含む。)に係る同意書、委任状及び印鑑証明書の取りまとめ。
・平成四年度の賃貸借契約に関する国と各土地所有者及び土地所有者相互間の意思の疎通を図るための各地所有者の意思の取りまとめ。

二、委託事務に係る施設及び対象者(二八地主会、二六、七五七人)。

三、委託金額 四、委託の条件 五、支払等の手続き

土地連及び地主会は、那覇防衛施設局から賃貸借契約の予約説明は受けたものの、まだ承諾する段階ではなかった。役員会は、先行きが不透明な中でこの事務委託を承諾すると、各地主会は本格的に予約取付け業務に着手しなければならないことから、より慎重な判断をせざるを得なかった。

それはこの時点において、まだ契約の前提ともいえるべき契約書、軍用地等賃貸借算定の見直し等、いわゆる未解決事案について那覇防衛施設局から満足すべき回答が得られず、また、前述の「軍用地賃貸借再契約に関する要望」についても、検討中であったからである。

結局、この日の役員会は、より慎重を期して対処すべきであるとして継続審議ということになった。以後、同議案については、同年九月二十五日、二十七日の役員会においても同様な理由で決定されず、二十九日の役員会で、「①事務委託費は受け入れるべきだが、受け入れ時期については土地連要望の結果を見てから判断すべきである。」「②土地連要望の結果は年度内には出ないと思う。そうすると事務委託費の予算は流れることになる。よって、事務委託費の受け入れについては正副会長の判断に任せる以外にない。」と二つの意見が提起されたが、検討の結果、全会一致で②を決定した。

那覇防衛施設局に提出する要請書については、地主会でとりまとめられた「軍用地賃貸借再契約に関する要望」を基に役員会で検討されたが、どのように取りまとめていくかということで難航した。

それは①「契約は双務契約であるので、原契約書の条項について、地主に不利な箇所があれば改正すべきである」②「原契約書の改定が現状において厳しいことからして、原契約書に関わる問題点の見直しにも対応できる要請書の形にすべきであり、具体的な契約書条項の改正までは要求すべきではない」との意見に分かれたからである。

土地連には当初、①の意見が多かったが、②の意見が出たのは、那覇防衛施設局が、賃貸借予約契約説明会等で、契約書の書式については「駐留軍の施設提供という安保条約との関わりから防衛施設庁ほか関係省庁との合議のもと作成され、全国的にも統一されている。よって、今回の賃貸借契約更新にあたっても復帰時に契約した原契約書を使用する」との説明があって、契約書の変更については望みが薄かったからである。

役員会は、地主の納得が得られるような要請及び回答を引き出すかを念頭に入れて議論を行った結果、「②の要請書を国に提出し、その反応如何によって、更にどのように対応するかを考えていく」ということで意見の一致を見出し、「賃貸借再契約に関する要望」をとりまとめた。

また、その後の地主会長会においても了承が得られたことから、土地連全役員は、同年十月六日、那覇防衛施設局長を訪ね要請を行った。同要請書の概要は次のとおりであった。

一、軍用地の返還にあたっては、跡地の有効利用を促進する必要から、次のとおり返還方法に関する特例措置を制定すること。

  • (一) 返還の時期、位置、規模、原状回復の方法、その他返還に伴う跡地利用事業等について、当該返還予定地の土地所有者並びに関係市町村及び県と協議するものとする。
  • (二) 各筆の土地の位置境界を明確にし、地籍を確定するものとする。
  • (三) 軍用地等跡地利用計画で定める土地利用及び跡地利用事業の基本方向に即して、有効かつ合理的な土地利用の状態に復するものとする。
  • (四) 返還予定地のうち、その土地利用の現状及び周辺の土地利用の動向並びに当該地域の経済的及び社会的実情から、緊急かつ計画的に土地区画整理事業又は、土地改良事業を実施する必要があると認められる地域については、県、関係市町村及び当該土地所有者からの申し出に基づき、当該事業を実施したうえで、返還するものとする。
  • (五) 当該事業実施に要する経費については、全額国庫で負担するほか、当該事業が完了するまでの間、関係土地所有者等に対し、賃貸料又は賃貸料相当額の補償を行うものとする。

二、賃貸料の算定にあたっては、全般的に評価の見直しを図るとともに、関係土地所有者において合意できる公平かつ適正妥当な方法によること。

三、賃貸物件の形質変更については、すべて当該土地所有者の了解を得ること。

四、賃貸借契約終了の際、原状回復することが著しく困難であるものについては、必要に応じ国において買い上げること。

五、基地周辺の公害防止と損害に対する完全補償並びに環境整備等については適切な措置を講ずること。

また、予約契約にあたっては、関係地主に対する契約協力金の支給が必要であるとして、「契約協力金に関する要請」も合わせて行った。(同要請書については、本書資料編「決議文・要請書等」に収録。)

いずれも、賃貸借再契約に係る初の要請であった。

なお、先の役員会で決定した「防衛施設用地賃貸借契約の更新事務の委託」については、回答期限(平成元年九月三十日)後の十月十七日に那覇防衛施設局長宛提出された。

一九八九年(平元)十一月一日、土地連全役員は「賃貸借再契約に関する要請」及び「契約協力金に関する要請」の実現を期するため、三日間の日程で上京。要請書を防衛庁長官、防衛施設庁長官宛に提出した。数日後、同要請に対し那覇防衛施設局長から、土地連会長宛に次のとおりの回答及び覚書が送付された。

「賃貸借再契約に関する要請について」の回答

・要請内容の一、二及び五の事項については要請の趣旨に沿って事務を進めているところである。その他の事項については、これまでも努力をしているところであるが、引き続き検討し、法令の定めるところにより、可能な限り努力をする。

「契約協力金に関する要請について」の回答

・賃貸借契約予約を依頼しているところであり、その趣旨に沿って速やかに協力していただいた方には、契約締結の協力に沿う措置を講ずるよう最大限の努力をする。

土地建物等賃貸借契約書に関する運用解釈について

・第五条関係「乙(国)の解約申入れについては、:乙は、解約申入れの時期について、甲(賃貸人)と事前に調整を行うものとする。
・第七条関係「遅延利息について」:甲及び乙は、遅延利息が生じないよう、事前に調整を行うこととする。

この回答及び覚書について、土地連は同年十一月十三日、役員会で報告。その結果、現段階では、これ以上の進展は望めないと判断。原契約書の書式を了承し、賃貸借予約契約締結については、各地主会に委ね、その方針に沿って賃貸借予約契約事務を進めていくことを全会一致で確認、決定した。

以上の経緯(概要)から、「賃貸借契約更新及び予約」に係る土地連の折衝は一段落し、軍用地等賃貸料折衝へと移行していくことになった。

三 軍用地等賃貸料折衝

(一) 賃貸料算定研究委員会の設置

土地連は一九七二年(昭四七)五月の復帰に際し、軍用地等賃貸料の算定方法及び要綱等をとりまとめ、国に要請した。その結果、前年度と比較すると約六倍という大幅な軍用地等賃貸料が予算措置された。しかし、復帰二〇年近くも経過すると、地域の振興開発で地価が著しく高騰、その結果、現行賃貸料は実勢評価と比較すると、現状にそぐわない低廉なものとなり、地主からは見直しの声が高まって来た。そのことから、土地連においては、二〇年に一度という賃貸借再契約更新の機会に軍用地等賃貸料の見直しを行うことが最も重要かつ必要であるとの観点から、軍用地等賃貸料算定方法等の調査及び研究事業に着手することになった。

土地連の第四十二回定期総会(一九九〇年三月)において、事業計画としては、はじめて軍用地等の賃貸借再契約更新に備えての「賃貸料算定研究委員会」(以下、「研究委員会」。)の設置及び関連予算が提案され、審議の結果、全会一致で決定された。

研究委員会(委員長・比嘉貞信)は、「軍用地等賃貸借に関し、適正妥当な賃貸料の算定方法等について調査研究する」ことが目的で、同年六月八日に設置された。

研究委員会は、前記目的について、一七回に亘り審議、検討。その結果をまとめ、一九九一年(平三)五月二日に土地連会長宛に「賃貸料算定方法等の調査研究に関する報告書」として提出した。(同報告書の内容は本書資料編「決議文・要請書等」に収録。)報告書内容を要約すると、次のとおりになる。①現行の価格方式と生産方式の二通りの算定方式については、全ての施設において価格方式を適用する。②施設周辺の開発が著しい地域においては、その全

部または一部について宅地見込地評価とする。③種別については、現行どおり宅地、宅地見込地、農地、農地見込地、山林、原野、という評価地目を採用するが、それぞれの評価額(推定)を算出して、その評価額に期待利回り(五パーセント)を乗じて算出するという方法を採用する。④以上の算定方法に基づいて、平成四年度における賃貸料総額を試算すると九八八億六、五〇〇万円となった。

(二) 軍用地等賃貸料要請行動

一九九一年(平三)五月、土地連理事会は、来る定期総会に備えて「平成四年度軍用地等賃貸料の増額措置要請案」の審議を行った。当初、要請書については研究委員会の報告を受け、それに基づいて作成するという方針であったが、報告書の内容を検討した結果、そのとおり了承することを決定。そのことから、要請案については、研究委員会で試算された額(九八八億六、五〇〇万円)を要求する。算定方法についても「賃貸料算定方法の基本要領」を参考とすることでまとまった。

同要請案については、第四十五回定期総会(一九九一年(平三)五月)に提案された。席上、代議員間からは、「要求額は、各地主会で協議されたものなのか」「大幅な要求額ではあるが、スムーズに認められるのかどうか」「再契約という絶好機を逃しては大幅な増額は考えられない。よって、満額確保までは行かないとしても、それに近い額を勝ち取るよう努力して頂きたい」「賃貸料算定方法は、地域においては不本意な面もあるが、大同団結していく必要から賛成」等の意見が出され、審議の結果、全会一致でもって決定された。(同要請書については、本書資料編「決議文・要請書等」に収録。)

土地連は、同要請案について定期総会の決議が得られたことから、早速、要請行動を展開することになった。総会翌日の三十一日、正副会長及び事務局長は那覇防衛施設局長を訪問し、要請書を提出。更に、同年六月十日には全役員が那覇防衛施設局長に要請。同日から四日間の日程で上京、防衛施設庁ほか関係国会議員を訪問、要請した。

この要請は、防衛施設庁が概算要求を行う前の早い時期の行動となった。土地連は、これまで那覇防衛施設局の賃貸借予約更新に協力して来たことから、防衛施設庁の回答に期待を寄せていた。

しかし、要請に対しての防衛施設庁の回答は、「土地連役員の要望は理解しているので努力したい、基地の安定使用の面からも出来る限り考慮したい」としながらも、一方で「国の財政事情は緊縮財政の折、厳しいものがある」として、具体的にどの程度の増額が見込まれるのかわからず、予断を許さないものがあった。

土地連は要請後も概算要求についての情報収集にあたった。七月上旬には防衛施設庁において概算要求額の総まとめに入っているとの情報から正副会長及び事務局長が急遽上京、防衛施設庁に満額確保を再要請。また、より万全を期すため関係要路にも積極的な要請行動を展開した。

(三) 軍用地等賃貸料概算要求額への対応

防衛施設庁は概算要求額締め切り直前の同年八月二十日、「平成四年度軍用地等賃貸料概算要求額」を発表した。発表された軍用地等賃貸料額は総額五六八億二、〇〇〇万円、前年度対比一〇・五パーセント増で、土地連要求総額九八八億六、五〇〇万円に対し、四二〇億四、五〇〇万円も下回るという、予想外かつ厳しい数字で、土地連との要求額に大きな乖離があった。

土地連会長は、この概算要求額発表を受け急遽上京。防衛施設庁長官に対し、この数字は要求額と大きくかけ離れているので「納得し難い」と、再考を促したが、「大蔵省から概算要求基準が示されている関係から、防衛施設庁において要求する限度額は五六八億二、〇〇〇万円で、最終決定した」との回答しか得ることが出来なかった。

更に帰沖後、那覇防衛施設局長にも不満を表明、再考を促したが、同様な返事しか得ることが出来なかった。そのことから、土地連会長は、那覇防衛施設局から土地連理事に対し、概算要求額についての説明を行うよう求め、緊急役員会を開催。概算要求額に対してどのように対処すべきか検討して行った。

会議では那覇防衛施設局から概算要求額についての説明が行われたが、防衛施設庁の概算要求の枠組みからも「一〇・五パーセント増が上限であり、これ以上の上積みは無理」という内容で、再考を求めたにもかかわらず、その実現にはほど遠かった。

したがって、土地連役員からは不満の意見が続出することとなった。主たる不満は、賃貸借再契約更新に際し、協力はして来たが報われず徒労に終わったこと。また、研究委員会で結論を見た試算額を正当とし、要求したが認められなかったということ等であった。同時に土地連は、国から予想外の概算要求額が示されたことを受け、これにどのように対処していくか問われることになった。

長時間に亘る審議の結果、理事会は次のことを決定するに至った。①国の概算要求額は低額なため、納得出来ない。よって、「不満表明」(マスコミに対し)を行う。②今後、国において適切な予算措置がなされない場合は、先に締結した予約契約の撤回もあり得る。(但し、予約契約が法的に可能であるかについては、顧問弁護士と相談をしていく)。③臨時総会を開催し、今後の具体的方針を決定していく。

一九九一年(平三)八月二十九日、土地連会長は理事会の決定を受けて、マスコミ各社に対し「平成四年度防衛施設賃借料に対する見解」を発表した。

見解内容は、「土地連は平成四年度軍用地等賃貸料について総額九八八億六、五〇〇万円を要求したが、このたび防衛施設庁において発表された概算要求額は五六八億二、〇〇〇万円で、僅か一〇・五パーセントの増額にすぎない。よって、土地連としては同要求額について承服しがたいので、今後引き続き十分なる予算措置がなされない場合は、先に締結した予約契約について撤回することもあり得る」というものであった。

翌朝の新聞は「土地連、軍用地料で国を批判」「予約契約の撤回も」「要求額と大きな隔たり」(琉球新報)「平成四年度の軍用地料、要求に大きな開き」「低額に怒りの土地連」「注目される今後の対応」(沖縄タイムス)の見出しで、その内容を掲載した。

その後、土地連正副会長及び事務局長は軍用地等賃貸料増額を改めて要請するため上京、関係国会議員を訪問した。この要請は、現時点において概算要求額の増額が可能であるかを確認するための要請でもあった。

しかし、「防衛施設庁概算要求額の増額は原則として認められない」(概算要求については原則として防衛施設庁と調整が図れなかったのか)「予約契約撤回による混乱が生じないよう最善の努力を払う」との返答しか得ることが出来なかった。

土地連会長は、一九九一年(平三)九月十一日緊急理事会を招集し東京での要請経過を報告。協議の結果、今後の対応については早急に地主会長会を開催し、決定することになった。

同年九月十九日、土地連は地主会長会を開催。「防衛施設庁の平成四年度軍用地等概算要求額について」を議題として取上げ。会長から経過報告を行い、今後の対応について協議した結果、次の五項目の方針を確認、決定した。
①このたびの防衛施設庁の概算要求額は関係地主の要求を無視したものであり、絶対に容認出来ない。
②双務契約である以上、概算要求額は事前に調整すべきである。
③概算要求額が容認出来ないものである以上、契約当事者である地主会長は責任をとって辞任すると同時に、先に締結した予約契約の一切についても撤回する。
④予約撤回の効力等について顧問弁護士と協議する。
⑤今後の対応については理事会に一任する。

イ、賃貸借予約契約について

賃貸借予約契約を締結したことにより、収束したかに見えた賃貸借予約契約問題がここに来て、再燃した。

土地連会長は、賃貸借予約契約締結したものについて、撤回した場合の効力と地主会長辞任問題について意見を求めるため、顧問弁護士及び歴代正副会長からなる顧問会議を相次いで招集した。この問題について、顧問弁護士は「地主会長が辞任しても委任の効力がなくなるだけである。また、予約を撤回する場合には、再度地主から委任状を取得する必要がある。」との見解を示した。

また顧問は、「防衛施設庁の概算要求額が十分に措置されなかったことで、地主会長が予約を撤回するという姿勢は理解出来るが、予約撤回という事態になると、その効力についての争いが出てくる恐れがある。各地主会長から那覇防衛施設局宛に予約撤回通知を出した場合、那覇防衛施設局はこれをどう受け止めるか。当然に那覇防衛施設局は予約そのものは有効であるという判断に立つ。そうすると必然的に有効か無効かの判断を法的に争っていかねばならない。最終的には裁判所の判断に委ねることになっていく。また、予約契約した地主は、契約そのものを拒否するのが目的ではない。国において十分な予算措置がなされていないことへの不満である。次年度以降において十分予算措置すべきであるという考え方に立つならば、政府当局と正面きって対決するということは必ずしも得策ではない。」との意見を述べた。

以上の顧問弁護士及び顧問の見解、意見を受けて、土地連会長は理事会(平成三年十月十七日)を開催したところ、「更に国と折衝して具体的な解決策を見出していく。その結果、納得する回答を得ることが出来なければ、地主大会を開催し結論を出す。」ことを決定し、新たな方針のもと要請行動を展開することになった。

ロ、新たな要請行動

賃貸借予約契約の撤回が厳しい状況の中、土地連理事会(平成三年十一月七日)は、新たな方針として「軍用地等賃貸料の増額措置に関する要請書」を決定、要請することになった。要請内容の要点は、「一、軍用地等賃貸料の見直し総額九八八億六、五〇〇万円については、平成四年度以降早期に予算措置すること。二、軍用地等賃貸料の概算要求にあたっては、予め土地連と十分に調整すること。」であった。

一九九一年(平三)十一月二十四日、土地連全役員が上京。防衛施設庁ほか関係国会議員を訪問し要請を行った。同要請に対し、防衛施設庁は「一、については、平成五年度以降において地目評価の見直しを徐々に調整していく考えであり、前向きに取り組んで行きたい。二、については、事前調整は制度上難しい面もあるが、土地連の意向を十分に拝聴し、予算要求にあたっていきたい。」と前向きな回答を示した。

防衛施設庁から、概算要求に際し、次年度以降は事前調整するとの回答を引き出したことは大きな成果であった。

土地連理事会(平成三年十二月二日)は、同要請の「報告並びに総括について」は、重要であるとの観点から、報告事項とせず、議案として取り上げた。総括内容の「防衛施設庁長官から平成四年度要求の上積みは難しい面もあるが、防衛施設庁としては、最重点課題として当面は要求額の満額獲得に最善の努力をする。次年度以降の概算要求にあたっては、事前に土地連と十分調整していくようにするとの前向きかつ誠意ある回答を得たことは大きな前進であり、一応評価出来るものと思慮する」「評価の大幅見直しによる賃貸料の増額措置は必要かつ絶対条件であるので、今後とも要求貫徹を目指す」ことについて審議したところ、全会一致で了承された。

また、先の地主会長会で、最終的な判断は理事会に一任するという委任を受けていたが、「概算要求額が容認できないものである以上、契約当事者である地主会長は責任をとって辞任すると同時に、先に締結した予約契約の一切についても撤回する」との方針を決定していたことから、再度、地主会長会(平成三年十二月十日)を開催し「報告並びに総括について」を報告し、了解を求めた。

席上、地主会長会間からは「予約の段階で、条件闘争すべきだった」「施設庁の借料算定要綱見直しを要求すべき」などの意見が出されたが、現段階では予約契約撤回という対抗措置が法的に困難であるなどの理由から、最終的に「報告並びに総括について」は了承されることとなった。

これで、防衛施設庁による概算要求額発表以降続いて来た、軍用地等賃貸料見直し折衝は一応の決着を見ることができ、概算要求額の満額確保に向けた行動に移った。

(四) 平成四年度軍用地等賃貸料の予算内示

予算内示では、これまでの経緯から一次内示で満額措置されるだろうと楽観視された。しかし、大蔵省からの一次内示額(平成三年十二月二十二日)は対前年度比七・七パーセント増、五五四億二、〇〇〇万円で、期待を裏切るものであった。土地連正副会長及び事務局長は急遽、上京。復活折衝を開始したが、防衛施設庁長官折衝でも復活されず、関係国会議員の協力を得た大臣折衝(十二月二十七日)の結果、ようやく概算要求どおりの対前年度比一〇・五パーセント増、五六八億二、〇〇〇万円に復活された。

また、賃貸借予約契約に伴う「契約協力謝金」については、一九九一年(平三)、一九九二年(平四)の両年度に亘って予算措置され、一人当たり一律五万円、計一〇万円が支給されることになった。

なお、賃貸借予約契約は最終的に九九・七パーセントの地主が同意し、一九九二年(平四)五月六日、那覇防衛施設局は予約契約締結のための予約完結通知書を委任者である地主会長宛、送付した。

以上の経緯で、土地連の「賃貸借契約更新と軍用地等賃貸料折衝」は一段落することになった。

防衛施設庁は、土地連との折衝の過程で、今後の概算要求にあたっては、「事前に十分調整していく」という約束をした。しかし、土地連要求額と概算要求額には依然として、乖離があり、十分な配慮がなされているとは言い難い。

現在、国と賃貸借契約を締結しているほとんどの土地については、二〇一二年(平二四)五月には期間が満了する。駐留軍用地等が存在していれば、復帰後二度目の賃貸借契約更新が訪れる。軍用地には、なお多くの未解決事案があり、今後、これに備えた関係地主の十分な準備が必要となる。

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