一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)

沖縄の軍用地に関する問題解決、地主の財産権の擁護及び福利増進を行っています。

電話098-923-2258
窓口業務時間平日 9:00~17:00(昼休み12:00~13:00)

土地連の歩み-通史編

第二節 軍用地問題の現状と課題

一 はじめに

沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)は、軍用地問題の円満かつ適正妥当な解決を図り、併せて軍用地関係地主の財産権を保護することを目的として、一九五三年(昭二八)六月に結成され、早や半世紀に及ぶ歳月が過ぎた。今日まで数多くの課題をかかえて、その目的解決のために、先輩の方々が、粉骨砕身の努力を傾注してきたことに対し、心から敬意を表するものである。

それでも道半ばで、未解決問題は依然、山積しており、軍用地関係地主の財産権擁護のために、臥薪嘗胆の頑張りが必要である。花が咲くまで、好むと好まざるとにかかわらず、地権者の意見を集約して、諸問題の解決実現のため、汗を流していくことは当然の理である。

このたび、土地連五十周年記念誌を発刊するに当り、当面する「軍用地問題の現状と課題」について、今日までの経緯を踏まえながら、所見の一端を述べてみることにする。

二 復帰後の米軍基地

沖縄は二七年に亘る米国の軍事支配から解放され、一九七二年(昭四七)五月十五日、本土へ復帰することになった。
その沖縄返還協定の主な内容は次のとおりである。

  • 1、沖縄にある米軍基地はそのまま維持され、その軍事的機能が低下しないようにすること。
  • 2、一部縮小される部分は自衛隊により補充され、日本全土について安保条約を手掛かりとして日米の相互防衛体制が強化されること。
  • 3、沖縄に対する米国の施政権は日本に返還されること。
  • 4、これらの再編成に要する費用は日本が負担し、今後の沖縄をめぐる軍事的機能を維持するための支出は、日本に肩代わりされること。

したがって、同協定の効力発生の日をもって、米国は沖縄の基地の継続使用を許され、施政権返還後の沖縄の米軍基地の法的根拠は、本土のそれと同様、日米安保条約第六条に基づくものとなったのである。

そのため、政府としては、沖縄における軍用地関係地主と新たに、賃貸借契約を締結する必要にせまられたのである。ところで、関係地主数が三万人を超える膨大な数であるため、復帰の日までに契約手続きを完了することは、ほとんど不可能な状況にあった。

そこで政府は、復帰後も引き続き国などが公用地等として使用する土地については、五ヵ年を超えない範囲内で使用権原を取得することができる旨を定めた「沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律」(公用地暫定使用法)を制定し、契約に応じない地主についても、強制的に使用できる措置を講じたのである。

本来であれば、現行の「駐留軍用地等の使用等に関する特別措置法」、または「土地収用法」を適用するところであるが、復帰時の沖縄における軍用地のほとんどは、地籍が未確定の状態であったことから、政府としてはやむを得ず、暫定使用法の特別措置を講じたということである。

結局、国との賃貸借契約については、土地連より復帰時の軍用地料を約六倍に引き上げる要求を国が認めたこともあって、約九三パーセントの関係地主(約三万人)が予約契約に同意したのである。公用地暫定使用法により強制使用されることになったのは、約七パーセントの地主(約二、四〇〇人)に過ぎなかった。

したがって、同法の制定をめぐって賛否両論があったものの、復帰後の米軍基地の継続使用については、一応の決着を見るに至った。

しかしながら、沖縄県における米軍基地については、本土復帰に際し、すみやかな整理縮小の措置をとるべきとする「国会決議」がなされたにもかかわらず、基地の整理縮小は進まず、戦後六〇年を経た今日においても、今なお、国土面積の〇・六パーセントに過ぎない狭隘な沖縄県に、全国の米軍専用施設面積の七五パーセントが集中しているという、他府県においては類を見ない基地密度の極めて高い状況にある。

さらに、沖縄県の米軍基地面積の所有形態別状況をみると、民有地が全体の三三・二パーセント、市町村有地が二九・二パーセント、県有地が三・五パーセントと、全体の約三分の二が民・公有地となっており、国有地は約三分の一(三四・一パーセント)である。

これに対し、本土の米軍基地は、約八七・五パーセントが国有地で、民・公有地は一二・五パーセントである。

これは本土の米軍基地の大半が、戦前の旧日本軍の基地をそのまま使用してきたのに対し、沖縄県の米軍基地は、米軍の占領に引き続き、民・公有地のほとんどが強制接収されたことによるものであり、その背景に大きな違いのあることが特徴である。

三 軍用地問題の未解決事案

前述したように、本土復帰後も米軍基地、自衛隊施設の継続使用を余儀なくされたこともあって、軍用地関係地主の個人財産が大きな制約をうけていることには変わりはない。現在、土地連加入の地主数は、約三万七、〇〇〇人である。

そのため、軍用地問題の未解決事案が依然、山積しており、土地連においては、それらの解決を図るべく、最大限の努力を傾注しているところである。

まず、当面の課題として次の事案について取り上げてみることにする。

(一) 賃貸借料について

一九七二年(昭四七)五月十五日、本土復帰の際、軍用地等に係る国との賃貸借契約が、一九九二年(平四)五月をもって二〇年の期間が満了することから、土地連においては、その準備のため「賃貸料算定研究委員会」を設置し、契約更新の条件として、賃貸料要求総額を九八八億六、五〇〇万円とすることが決定された。

しかしながら、防衛施設庁の予算額は、五六八億二、〇〇〇万円となり、土地連要求額を大幅に下回るものであった。その後毎年、要求額達成を目指し、防衛施設庁との交渉を重ねてきているが、そのハードルは高く、未だに、その実現に達していない実情にあり「百年河清を俟つ」思いで、至極残念である。

それでも、平成十七年度予算で八八二億二、六〇〇万円まで引き上げられていることは、一応、評価されるところである。
政府においては、「財政が厳しい」、または「地価が下落している」との理由で、土地借料予算を抑制しているが、日米安保条約にもとづく、施設提供に大いに貢献している軍用地関係地主の立場に理解を示すべきである。

その観点で、今後とも、施設庁はじめ、関係省庁と精力的に交渉を続けていくことが肝要である。

(二) 地籍明確化について

沖縄における軍用地等の地籍明確については、かねてから特別措置法等の早期立法による解決方を訴えてきたが、一九七七年(昭五二)五月十八日、「沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法」(法律第四十号)の制定の実現をみるに至った。

法律施行後、地籍明確化について、大きな成果を挙げているが、何しろ集団和解方式を前提とするものだけに、いまだに、地籍が確定していない地域がある。

つまり、基地提供について、思想信条の立場から、地籍明確化に必要な押印に反対する人達がいて、集団和解が成立しない実情があり、そのため、多くの関係地主が支障をきたしている。

地籍明確化は、戦後処理の一環であり、国の責任において良き方策を講じることが解決の第一歩である。そのためには、大きな政治的交渉なども不可欠である。

(三) SACO合意による返還施設について

沖縄米軍基地の整理、統合、縮小について、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告が、一九九六年(平八)十二月二日、発表された。普天間飛行場など十一施設、約五、〇〇二ヘクタールを平成九年度末から平成十九年度末までの間を目処として返還する内容である。沖縄県内の米軍基地の総面積(日米共同使用を除く)の約二一パーセントの規模である。

返還合意された施設は次のとおりである。

  • (1) 普天間飛行場(約四八一ヘクタール)
    代替ヘリポートは海上施設が最善の選択。五〜七年以内に代替施設完成後、全部返還する。
  • (2) 北部訓練場(約七、五一三ヘクタール)
    二〇〇二年度(平一四)末までをめどに、過半(約三、九八七ヘクタール)を返還し、また、特定の貯水池(約一五九ヘクタール)についての米軍の共同使用を解除する。
  • (3) 安波訓練場(約四八〇ヘクタール)
    北部訓練場から海への出入のための土地及び水域が提供された後、一九九七年度(平九)末までをめどに、安波訓練場(約四八〇ヘクタール)についての米軍の共同使用を解除し、また、水域(七、八九五ヘクタール)についての米軍の共同使用を解除する。
  • (4) ギンバル訓練場(約六〇ヘクタール)
    ヘリコプター着陸帯が金武ブルー・ビーチ訓練場に移設され、また、その他の施設がキャンプ・ハンセンに移設された後、一九九七年度(平九)末までをめどに、全部返還する。
  • (5) 楚辺通信所(約五三ヘクタール)
    アンテナ施設及び関連支援施設がキャンプ・ハンセンに移設された後、二〇〇〇年度(平一二)末までをめどに、全部返還する。
  • (6) 読谷補助飛行場(約一九一ヘクタール)
    パラシュート降下訓練が伊江島補助飛行場に移設され、また、楚辺通信所が移設された後、二〇〇〇年度(平一二)末までをめどに、全部返還する。
  • (7) キャンプ桑江(約一〇七ヘクタール)
    海軍病院がキャンプ瑞慶覧に移設され、キャンプ桑江内の残余の施設がキャンプ瑞慶覧又は沖縄県の他の米軍の施設及び区域に移設された後、二〇〇七年度(平一九)末までをめどに、大部分(約九九ヘクタール)を返還する。
  • (8) 瀬名波通信施設(約六一ヘクタール)
    アンテナ施設及び関連支援施設がトリイ通信施設に移設された後、二〇〇〇年度(平一二)末までをめどに、大部分(六一ヘクタール)を返還する。ただし、マイクロ・ウェーブ塔部分(約〇・一ヘクタール)は保持される。
  • (9) 牧港補給地区(約二七五ヘクタール)
    国道五八号を拡幅するため、返還により影響を受ける施設が牧港補給地区の残余の部分に移設された後、同国道に隣接する土地の一部(約三ヘクタール)を返還する。
  • (10) 那覇港湾施設(約五七ヘクタール)
    浦添埠頭地区(約三五ヘクタール)への移設と関連して、那覇港湾施設の返還を加速化するため、最大限の努力を共同で継続する。
  • (11) 住宅統合(キャンプ桑江及びキャンプ瑞慶覧)
    二〇〇七年度(平一九)末までをめどに、キャンプ桑江及びキャンプ瑞慶覧の米軍住宅地区を統合し、これらの施設及び区域内の住宅地区の土地の一部を返還する。
    (キャンプ瑞慶覧については約八三ヘクタール、さらに、キャンプ桑江については約三五ヘクタールが、それぞれ住宅統合により返還される。このキャンプ桑江についての土地面積は、前記のキャンプ桑江の返還面積に含まれている。)

このSACO最終報告によると、かつてない大規模な返還合意がなされており、かねてから沖縄側において、基地の過重負担の軽減を訴えてきている観点から見れば、一つの成果として評価できるものである。

しかしながら、その殆どは、県内移設を条件としたものであるため、未だに返還の実現をみていない状況である。
特に、普天間飛行場は、"目玉返還"として五年乃至七年以内の返還の実現が大いに期待されたのであるが、結局、移設先が決まらないため、九ヵ年を経過した現在においても返還時期の見通しすら立っていないのである。

いずれにしても冒頭において述べたとおり、軍用地関係地主は、本土復帰後において米軍基地の継続使用を容認するとともに、国との賃貸借契約を締結し、日米安保条約及び日米地位協定の円滑な実施に協力しているだけに、国においては、基地の返還に際し、軍用地関係地主に不利益、損失を与えないよう配慮すべきである。

その他に、二〇〇二年(平一四)六月で期限切れとなった軍転特措法は、ほぼ同じ内容で、沖縄振興特別措置法(沖振法)の付則でもって一〇ヵ年の延長措置が講じられ、更に、同法の中に「駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置(第七章)」が盛り込まれた。

したがって、返還後の地主補償、文化財や汚染等の問題については、沖振法の政令等で措置されることになったので、その進展を見守りながら、関係地主が損失を蒙らない方策を、国や県、市町村、地主会が綿密に連携し、適切な方策を模索していく必要がある。

更に、極東における日米安全保障上の戦略的な問題もあり、米軍再編(トランスフォーメーション)の中で、沖縄の米軍基地が今後どのように変転していくのか、関心事である。

内外の情勢と兵器の近代化、軍事技術の進歩と日本政府の調整対応いかんによっては、基地が大幅に縮小されるという期待感もある。そのことによって生ずる跡地利用問題を前向きに推進していくための方策を検討することも必要である。

以上、当面する軍用地問題として取り上げた三点については、早急に解決しなければならない重要課題であるので、それを成就するために、大所高所から精力的に検討を重ねていくと同時に、また、沖縄県の現状を国民や政府に正しく理解してもらう情報の発信も必要である。
そのために、土地連内に常任検討委員会を設置することが望ましい。そのことのみが問題解決に光明を見出すことができる。

【主要参考資料】

  • ・沖縄の米軍基地(沖縄県基地対策室編、二〇〇四)
一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)
Okinawa-ken. Federation of Landowners Association of land used for Military Purposes. a corporate.
〒904-0103 沖縄県中頭郡北谷町桑江1丁目6番29号
電話(代表):098-923-2258
Fax:098-923-2257
窓口業務時間 平日 9:00~17:00 (昼休み12:00~13:00)
休業日:土・日・祝日・慰霊の日・年末年始
2012 - 2026 © 一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)
本ウェブサイト内に掲載の記事・写真の無断転用は一切禁じます。すべての著作権は一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)および情報提供者にあります。
ML Design

ご案内