一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)

沖縄の軍用地に関する問題解決、地主の財産権の擁護及び福利増進を行っています。

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土地連の歩み-通史編

第四節 基地関係収入と市町村

まえがき

沖縄は、日本の国土面積の約〇・六パーセントという非常に小さな島に過ぎないが、日本に所在する米軍専用施設面積の約七五パーセントに上る広大な米軍基地が置かれており、在日米軍兵力の約六〇パーセントを占める米軍が駐留している(「別表第1」)。

沖縄には、二〇〇三年(平一五)三月末現在、県下五三市町村のうち二四市町村にわたって三七施設、二万三、六八七・四ヘクタールの米軍基地が所在しており、県土面積二二万七、二二三ヘクタールの一〇・四パーセント(沖縄本島の一八・九パーセント)を占めている。

これを市町村別に見ると、嘉手納飛行場がある嘉手納町では、町面積の八二・九パーセントを米軍基地が占め、他に八市町村では市町村面積の三〇パーセント以上が米軍基地で占められている(「別表第1」参照)。
なお、「米軍専用施設」とは、専ら在日米軍のみによって使用されている提供施設・区域をいう。本土では、米軍は自衛隊施設の全部又は一部を一時使用(共

同使用)していることがほとんどだが、沖縄には米軍の専用施設が多く、全国に占める本県の比率が七五パーセントとなっている。
このように狭い地域に広大な米軍基地が集中し、基地と民間地域が近接して存在しているのが沖縄の現状である。

ちなみに、市町村別の自衛隊基地面積は、(「別表第2」参照)のとおりで、六四一・四ヘクタールは全国比率では〇・六パーセントとなっている。これは、国土面積に占める沖縄の県土面積〇・六パーセントと等しく、自衛隊基地の面積に関しては全国並みとなっている。


 

「別表第1」

米分基地面積の全国対比

単位 ha(2003年3月末現在)

区  分 全 国 (A) 沖縄県 (B) 比率 (B/A)
米軍専用施設面積 31,348.1 ha 23,546.9 ha 75.11 %
(内訳) 陸上 31,012.3 ha 23,313.2 ha 75.17 %
水域 335.8 ha 233.7 ha 69.59 %
米軍施設(専用・共同) 102,646.6 ha 24,191.3 ha 23.57 %
自衛隊基地 (沖縄県内)
※(全国比率 0.6%)
139,114.7 ha 794.7 ha 0.57 %

(2003年(平15)3月末現在、防衛施設庁調)


 

沖縄の米軍基地の土地所有の形態を見ると、日本本土にある米軍基地は、約八八パーセントが国有地であるのに対し、沖縄では、民有地が約三三パーセント、県・市町村有地が約三三パーセントを占め、国有地は三四パーセントに過ぎない状況であり、他の都道府県に比べ、国有地以外の民有地の割合が高いのが特徴となっている。

沖縄に広大かつ過密に存在する米軍基地は、地域開発や都市計画など振興開発を進める上で大きな制約となっている。

それだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響や演習に伴う事故の発生、後を絶たない米軍人・軍属による事件・事故の発生、さらには汚染物質の流出等による自然環境破壊の問題等、県民にとって過重な負担となっている。

特に、米軍の普天間飛行場は、宜野湾市の市街地の真ん中にあり、人命にかかわるような大事故がいつ起こるかわからない、危険な状況にある。

そのため、普天間飛行場の移転が緊急の課題となって、一九九六年(平八)十二月二日、SACOの最終報告がまとめられ、「今後五乃至七年以内に、十分な代替施設が完成し運用可能となった後、普天間飛行場を返還する」ことになった。

それにより、米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古沿岸域と決め、海上ヘリポート建設作業が進められているが、その移転工事は住民の反対運動で、進んでいない。
(なお、二〇〇四年《平一六》には、普天間飛行場所属の米軍ヘリコプターが沖縄国際大学へ墜落する事故が起こっている。)
また、米軍嘉手納基地周辺住民の爆音による被害はひどく、一九八二年(昭五七)と二〇〇〇年(平一二)の二回にわたって、「嘉手納基地爆音訴訟」が提起され、いまも争われている。

このような現状に対し、政府は、北部振興事業や嘉手納飛行場周辺住民の「集団移転政策」の実施、基地交付金など、市町村を通じて行なう民政安定事業などに各種の交付金・補助金を支出している。

一方、市町村の現状は、地方分権の途上で、市町村合併、三位一体改革に伴う多くの行財政問題を抱え、重大な岐路に立たされている。

本来は、地方分権推進のための市町村合併のはずが、いつの間にか国・地方の抱える財政難解消のための効率化が前面に出て、国によるアメとムチをかざしての強制的な市町村合併を迫られている。

このように、市町村が当面している地方分権、三位一体改革および市町村合併の現状、および基地所在市町村の財政の状況、基地関係収入制度の概要を見る。

一 市町村の現状

(一) 地方分権

中央集権体制から、新たな地方分権体制を目指すとして、二〇〇〇年(平一二)四月、「地方分権一括法」が施行され、地方分権が進められることになった。

この地方分権の目的は、現在、国に集中している権限や財源を県や市町村に移し、自らの地域のことは、自らの意思で決定し、自ら執行する体制を作ることである。すなわち、住民に身近な行政は、住民に身近な基礎自治体が行なうことを基本とし、基礎自治体である市町村が十分な権限や財政基盤を有し、地域の総合的かつ自立性の高い行政主体となっていくようにすることである。

このためには、国の役割を国際的な事務など、国が本来果たすべき役割に重点化し、「地方でできることは地方で行なう」という地方分権を基本に、国と地方の役割分担を明確にしている。それにより、地方では、行政権限の拡大と、自らの事務能力の強化を図るための地方分権への対応を推進するところであった。

しかし、地方分権一括法の成立の時期あたりから、国・地方とも財政状況が非常に悪化し、国・地方の行政改革の必要性が強調されてきた。

地方行革の場合、特に小規模市町村は無駄が多いので、合併して効率的な地方行政を行なわせるべきだとの議論がでてきた。

本来であれば、行政権限の分権がなされたので、次は財源の分権化に移るはずが、そのことがいつの間にか後回しになり、市町村合併が前面に出てきた。

(二) 三位一体改革

地方分権は、表裏一体の関係にある行政と財政の一体的改革が前提で行なわれなければならないが、二〇〇〇年(平一二)の地方分権改革は、行政面の改革で、それに続くはずの「地方財政自立改革」だとされる税財源の移譲は先送りされた。

その後、二〇〇四年(平一六)から税財源の分権化が始まり、政府は、税財源の三位一体改革(補助金削減、交付税改革、税源移譲)として、次の三項目の改革を行なうとしている。

  • ① 国から地方への補助金を四兆円規模で縮減・廃止する。
  • ② 基幹税の充実を基本に補助金削減の八割程度を税財源(所得税、消費税など)移譲で補填する。
  • ③ 地方交付税の財源保障機能(標準的歳出に要する自治体の収支不足を補填)を全般的に見直し、縮小する。

① 国庫補助金削減

第一の国庫補助金削減については、沖縄県の場合、自主財源が極端に少ないところへ、三位一体改革により、大部分の公共事業関係補助金が廃止、削減されることになると、非常に大きな打撃を受けることになる。

本県の場合、離島県である上に一九の離島市町村(二〇〇四年四月現在)を抱えるという地理的不利性がある。その上に、膨大な米軍基地が所在しており、県民所得が全国平均の七割程度しかない状況では、やはり、国の高率補助に頼らざるを得ない事情がある。

特に、本県における国の補助事業は、二四・六パーセントと全国平均の一一・九パーセントの二倍以上あり、これは沖縄のみの高率補助のおかげで、全国より建設事業が多いことがその理由である。

このため、県では、全国一低い県民所得などを考慮して、高率補助などの特別の措置は温存させたいとしていたが、二〇〇五年度(平一七)予算では、高率補助のついた廃止補助金の代わりとして「沖縄振興特別交付金」が創設された。

これにより、次年度以降、各種補助金が廃止されても、「沖縄振興特別交付金」が受け皿になり、事業量は確保できることになったといわれる。

そのような中で、全国知事会は、三兆円規模の公共事業関連を削減する国庫補助金の改革案をまとめていたが、沖縄県は、稲嶺知事を先頭に沖縄振興にかかる高率補助金の削減反対を訴え、全国の知事会の「補助金削減の提言書」では、「特定地域の特例措置に配慮すべきだ」との文言が加えられ、沖縄の現状に対する配慮がなされた。

② 税源移譲

次に税源移譲を見ると、国税と地方税など、国と地方の税収は合計約五〇兆円、だいたい「国六」対「地方四」の割合で収入しており、一方、支出の面では、「国四」、「地方六」と逆になっている。すなわち、わが国の行政の三分の二が地方で行なわれていることを示している。

このことから、地方自治体からは、地方分権を進める上でも税源移譲を求める声が強く上がってきた。ただし、税源移譲で、自治体間の財政力の格差が広がることは避けられない。

地方税収入は、大都市のような所得や資産といった税源の豊かな地域ほど税収入が高く、また地方圏は一般にその水準が低い。経済活動水準が低く、所得や資産といった税源の乏しい地域は、これら税源の移譲を行なっても、もともと税源が小さいことから税収の増加は望めないという問題がある。

特に沖縄県の場合は、税源が少なく、また、離島町村にとっては、税源移譲の効果は、ほとんど期待できない。

市町村の二〇〇二年度(平一四)の自主財源は、歳入全体の三一・七パーセント(全国市町村平均五二・六パーセント)で、全国市町村平均とは二〇・九ポイント乖離しており、依然として財源の国等への依存度が高くなっている。

また、沖縄県の財政状況を見ると、二〇〇三年度(平一五)予算は、自主財源が二六・二パーセントで、全国の三二・二パーセントよりかなり低い。特に、県税は全国平均が三〇・二パーセントに対し、一三・〇パーセントと全国平均の約四割しかなく、極端に低い状況にある。

ちなみに、二〇〇四年度(平一六)の沖縄県財政は、地方交付税や国庫支出金が二七六億円削減され、一方、地方譲与税などの税源移譲は、三六億円にすぎず、七倍以上の額が削減されたという推論があり、県財政は非常に深刻な状況となっている。

また、三位一体改革に対応して、全国知事会がまとめた補助金削減案を基に、県財政課がまとめた試算によると、二〇〇四年度(平一六)予算では、「県と市町村合計で四七二億円減」(税源移譲九〇億円ー補助金六六二億円削減=四七二億円減)という結果になるとされ、大きな波紋を広げている。

特に、財政力の脆弱な県内市町村は、今後の三位一体改革の進行状況に一喜一憂することになる。

③ 地方交付税削減

第三に、地方交付税の削減の状況を見ると、市町村の窮状がもろに出てくる。
地方交付税制度は、自治体間の財源の不均衡を調整し、すべての市町村が一定の水準を維持できるよう国が財源を保障する制度である。
地方自治体が、自前の財源が三割以下という状況から「三割自治」と言われる現状で、全国の九割を超える自治体が地方交付税に依存している。

このように地方交付税制度は、地方の「財源保障機能」を大きく果たしている。

これについて、財務省や財界からは、「地方自治体は、地方交付税で過剰なサービスをやりすぎているのではないか」、また、「自治体間で、格差が出て当たり前」などの声が出てきて、「財源保障機能」の縮小・廃止の要求が出ている。

地方交付税を大幅に切り込むことで、国の危機的な財政問題の解決につなげ、また、地方の歳出抑制努力を引き出し、交付税に依存しない自治体を増やす狙いがあるといわれる。

この数年、市町村にとっては、地方交付税が年々、数パーセントずつ減っており、財政運営が非常に厳しくなっている。

地方交付税の財源保障制度は、国・地方を合わせて七〇〇兆円以上に上る借金により、これらの保障も困難になりつつあり、市町村の財政硬直化はより深刻さを増している。その上、借金返済のための公債費の増加、高齢者福祉に要する費用など、自治体財政は、きわめて厳しい状況にある。

県内市町村でも、二〇〇四年度(平一六)の予算編成においては、地方交付税が大幅に削減されたため、ほぼ軒並みに緊縮型予算を余儀なくされた。

財源不足を補うため、財政調整基金や減債基金などの諸基金を大幅に切り崩すなどの対応や保育料の値上げ、国保税や水道料金の値上げなどに踏み切った市町村もある。

また、与那国町は、国の三位一体改革による財政危機を乗り切るために、助役・収入役を廃止し、職員給与の一〇パーセント、町長報酬の二〇パーセントカット、団体補助金の廃止などの方針を決めている。市町村合併をせず、自立を選択したため、赤字団体に陥らないための取り組みだとしている。また、嘉手納町でも助役、収入役を廃止した。

そのほか、県内市町村では、議員定数の削減や、議員報酬の半減、定年退職する職員の不補充、助役・収入役の廃止、特別職の報酬削減などの取り組みをしている市町村が増え、いよいよ地方も冬の時代に突入している。

(三) 市町村合併

「ゆりかごから墓場まで」といわれた福祉行政が、現在では、「胎児から墓場まで」といわれる時代になった。
今日、市町村の事務も高度化、多様化、広域化し、少子高齢化していく中で、地方分権の受け皿として、また、非常に厳しい財政難の中、市町村が今の規模でやっていけるかということが論議され、市町村の自立性を高め、行財政基盤の充実・強化を図るため、政府により市町村合併が強力に推進されている。

市町村合併特例法では、二〇〇五年(平一七)三月までに合併を決めれば、新市の施設建設のための合併特例債(返済金の七〇パーセントを国が手当てする)の発行を認め、合併後一〇年間は、合併前の地方交付税の水準を保障するなどのさまざまな特例措置を設けている。

その上、政府は、三位一体改革推進に伴い、地方交付税を大幅に削減するなど、市町村合併推進にアメとムチをかざしている。

市町村合併の特例措置は、二〇〇五年(平一七)三月までに知事に申請し、〇六年三月末までに合併すれば、現行法の優遇措置が受けられるという経過措置があるため、特に二〇〇四年(平一六)に入って、全国的に駆け込み合併の論議が巻き起こっている。

この「平成の大合併」により、全国で三,〇〇〇を超えていた市町村は、二〇〇六年(平一八)三月末には、一,八二二に再編されるといわれる。

一方、国の市町村合併強制は、国の財政問題の解決のための手段ではないか、という議論もあり、また、財政危機回避のためだけの後ろ向きの市町村合併推進では、市町村合併協議がなかなか進まない、という市町村も多い。

しかし、わが国のこれからの少子高齢化社会の到来は、納税者である生産年齢人口は減り、高齢者が増えるに伴って、医療、社会保障費などは必然的に増加することになる。

市町村は、福祉や教育、まちづくりについて包括的、総合的に責任を持つ最小の行政主体であると考えた場合、小規模市町村は、財政的にはますます窮地に立たされることになり、市町村合併以外の選択肢はない、という主張もある。

県内では、七ブロックで法定協議会が設置され、市町村合併の協議が進められていたが、住民投票による合併反対の意思表示や庁舎の位置、街づくりの方針の対立などで、三ブロックでは、市町村合併は、破綻した。

一方、二〇〇五年(平一七)四月一日に「うるま市」として誕生する中部四市町(具志川市、石川市、勝連町、与那城町)や、同年十月一日合併予定の宮古島市(平良市、城辺町、下地町、上野村、伊良部町)、二〇〇六年(平一八)一月一日合併予定の南風原町(玉城村、知念村、佐敷町、大里村) ・八重瀬町(東風平町、具志頭村)が新しい自治体としてスタートする。

これら四ブロックの合併により、二〇〇六年(平一八)一月一日の県内の市町村数は、一一市一一町一九村で、合計四一市町村となり、二〇〇五年(平一七)一月一日の五三市町村(一一市一七町二五村)から一二町村の減となる。

現在の市町村合併について、沖縄県町村会の会長である宮城篤実嘉手納町長は、「合併するかしないか、自らの痛みを伴う改革を断行できるかどうか、首長、議員等責任ある者の生き残りをかけた決断が迫られている」と自治体のトップとしての覚悟を示し、また、合併をしない場合は、「なお一層の改革をはかりながら、実現可能な業務の広域化がベターではないか」と、語っている。

わがむらの文化伝統を守り、これまでのむらづくり、すなわち、住民の手の届く範囲の小さな自治体を大事にしていくとする市町村と、合併なしでは住民生活が守れない、住民福祉は大幅に削減されるとする市町村が、それぞれの生き方を模索している。

そのため、市町村合併論議の行方は、国の政策、特に三位一体改革の進め方にもかかっているとして、その政策を各市町村が注視している状況である。

二 基地関係収入と市町村財政

(一) 基地関係収入の内訳

米軍基地(自衛隊基地を含む)を抱える県下の市町村は、基地交付金に代表される米軍基地に関連した収入(基地関係収入)を得ており、地域により、また、基地の面積・使用形態等により基地の及ぼす影響は異なるが、基地所在市町村のほとんどにおいて、これら基地関係収入は、当該市町村財政に深く組み込まれ、構造的なものとなっている。

この「基地関係収入」は、市町村の収入のうち「直接基地に起因する収入で、基地が所在することに対する代替的、補償的、保障的もしくは政策的な性格を持つ財源」として定義されている。基地関係収入は、財産運用収入(軍用地料)を除き、いずれも、国から交付されるところの依存財源である。

二〇〇二年度(平一四)の市町村の基地関係収入には、次のようなものがある。
(それぞれの項目の具体的な内容は、後述の「三、基地交付金・補助金制度の概要」に記載してある。)

  • ① 「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」(いわゆる「基地周辺整備法」に基づくもの)
    a 防音工事等への各種助成事業
    ・・・九九億一、二四四万円
    b 特定防衛施設周辺整備調整交付金(SACO交付金含む)
    ・・・六四億五、三四三万円
  • ② 基地交付金
    a 助成交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律)
    b 調整交付金(施設等所在市町村調整交付金要綱)
    ・・・一五億三、四七〇万円
  • ③ その他の補助金・委託金
    a 返還道路等整備事業補助金
    b 防音事業関連維持費補助金
    c 施設区域取得事務委託費など
  • ④ その他
    a 島尻事業
    ・・・一〇五億九、一六六万円
    b 北部振興事業
    ・・・約二〇〇億円支出(〇三年度まで)
  • ⑤ 軍用地料
    市町村が米軍基地(自衛隊基地を含む)の地主としての立場から受け取る賃貸料
    ・・・九三億九、七二八万円

(二) 基地関係収入の現状

二〇〇二年度(平一四)決算における県下五三市町村全体の歳入総額は、約五、七一〇億円で、このうち基地関係収入が約三七八億円(前年三二二億円)あり、全体の六・六パーセントを占めている(「別表第2」)。

基地所在市町村(自衛隊基地含む)三一団体のうち基地関係収入のある二八市町村の歳入総額に占める基地関係収入の割合は、八・二パーセントとなり、前年の六・六パーセントを約二ポイントも上回っている。

これは、三位一体改革に伴う地方交付税等の削減によって、市町村収入総額が縮小(マイナス二・六パーセント)され、多くの基地所在市町村が、ますます基地依存度を強めている状況を示している。


 

「別表第2」

2002年度(平成14年度)基地関係収入(概況)

歳 入 総 額 左のうち
基地関係収入 C
割  合
C / A C / B
52市町村 A 28市町村 B 378億円 6.60% 8.20%
5,710億円 4,630億円

 

沖縄県基地対策室「沖縄の米軍基地」より


 

「別表第3」

2002年度(平成14年度)基地関係収入割合

割 合 団体数 団   体   名
20%以上 7 宜野座村、嘉手納町、伊江村、恩納村、金武町、北谷町、名護市
10~20% 3 読谷村、北中城村、沖縄市
5~10% 4 具志川市、浦添市、知念村、与那城町
0~5% 19 勝連町、宜野湾市、東村、国頭村、渡名喜村、石川市、久米島町、那覇市、本部町、佐敷町、糸満市、石垣市、平良市、東風平町、具志頭村、北大東村、上野村
《豊見城市、中城村》
収入なし 19 上記以外の市町村

 

(注 豊見城市、中城村は、基地の所在なしだが、近隣基地の騒音等の影響ありとして、助成されている。)


 

なお、基地関係収入が歳入総額の五パーセント以上を占める市町村は一四市町村あり、うち一〇パーセント以上を占める市町村は、四五・二パーセントの宜野座村を筆頭に、嘉手納町など一〇団体となっている(「別表第3」)。

特に、基地関係収入が歳入の二〇パーセント以上を占める七市町村では、地方税収入が一一・五パーセントに対し、基地関係収入が三三・四パーセントと、地方税の約三倍となっており、財政が極度に基地収入に依存している実態を示している(「別表第3」)。

また、基地関係収入を、二〇〇二年度(平一四)決算における地方交付税との比較で見ると、宜野座村では、地方交付税の構成比一五パーセントに対し、基地関係収入が三倍の四五・二パーセントを占めており、そのほか五町村が地方交付税よりも比重が大きくなっている。まさに、「基地頼み」の財政体質が強まっている。

次に、金額ベースで見ると、基地関係収入二〇億円以上が九団体、一〇億円〜二〇億円が三団体、一億〜一〇億円が八団体、

一億円以下が九団体となっている(「別表第4」)。

基地関係収入の種類別内訳を見ると、基地交付金が六五億円、基地関係の財産運用収入(軍用地料)が九四億円、島尻事業を含めた防衛関係補助金が二二〇億円である。基地交付金と財産運用収入は、前年度(二〇〇一年度)並みであるが、防衛関係補助金は、四割増しの大幅増となっている(「別表第5」)。

(三) 基地関係収入と市町村財政

このように、基地所在市町村は、基地関係収入のおかげで、一見、財政が豊かに思われるが、実態はどうか。
市町村財政の概況と基地所在市町村にとっての基地交付金及び基地対策事業などの基地関係収入について、その一端を見てみたい。
二〇〇二年度(平一四)市町村決算における経常一般財源比率を見ると、宜野座村一六・八パーセント、金武町一四・九・九パーセント、恩納村一四六・六パーセント、嘉手納町一四一・六パーセント、北谷町一二一・四パーセント、名護市一一一・六パーセント、沖縄市一〇九・五パーセントなどとなっており、前年度同様、上位の市町村はすべて基地所在市町村が占めている。

これらの上位団体は、例年ほとんど同じ顔ぶれであり、一般財源に余裕があることを示している(「別表第6」)。

経常一般財源比率とは、市町村が、標準的状態で収入すると期待される一般財源(地方税、地方交付税等で自由に使途を決められる自主財源)の規模と、現実に収入する一般財源を比較することによって、歳入構造の弾力性を判断する指標である。

よって、この指標は、「一〇〇」を超える度合が高いほど一般財源に余裕があり、税収入の落ち込みなどの収入状況の変化に対応できるとされている。

二〇〇二年度(平一四)の沖縄県下市町村平均は一〇五・四パーセントとなっており、基地所在市町村の経常一般財源比率の高さは、際立っている。

ちなみに、普通交付税の交付額は、地方団体ごとに算出される基準財政需要額と基準財政収入額との差額(財源不足額又は財源超過額)を基にして決定される。

基準財政収入額は、標準的な地方団体が共通して有する一般財源収入を算定する。この算定対象は、地方税収入及び地方譲与税収入等に限定され、基地関係収入(基地提供による財政収入)は、基準財政収入額に算定されない。

このため基地関係収入のある団体は、基地のない団体よりも、一般財源に余裕があることを明白に示しており、上位一〇団体のうち、九団体が基地所在市町村である。

これらの基地所在市町村の歳入総額に占める基地関係収入の割合は、(「別表第3」)で見るとおり、宜野座村の四五・二パーセントをはじめ嘉手納町三九・九パーセント、伊江村三九・二パーセントなど、かなり高い比率となっている。

次に、財政構造の弾力性を判断する重要な指標である経常収支比率は、次のようになっている。

経常収支比率は、市町村に毎年続けて使い道の自由な金として入ってくる地方税や普通交付税などの財源を経常一般財源といい、反対に人件費、公債費など義務的経費や旅費などの物件費、維持補修費などのように毎年決まって支払わなければならない経費を経常経費という。

経常一般財源が、経常的経費にどのくらい当てられたかを示した比率を経常収支比率といい、経常収支比率が低いほど他の臨時的な財政需要に対して余裕を持つことになるため、市町村の財政構造の弾力性を判断するバロメーターとして最も利用されている。

この経常収支比率は、財政のエンゲル係数といわれ、率の低いほど好ましいものであるが、沖縄県下市町村の平均が八八・六パーセント(全国市町村平均八六・六パーセント)のところ、嘉手納町七七・二パーセント、金武町七八・二パーセント、浦添市八〇・四パーセント、恩納村八三・〇パーセント、北谷町八三・〇パーセントなど、基地所在市町村が上位を占めている(「別表第6」)。

県下では、この経常収支比率が、全国平均より上位(良好)にランクされる市町村が一七団体あり、うち一三団体が基地所在市町村となっている。


 

「別表第4」

基地関係収入額

区 分 団体数 団   体   名
20億円以上 9 名護市、沖縄市、宜野座村、北谷町、嘉手納町、伊江村、浦添市、金武町、恩納村
15~20億円 2 具志川市、読谷村
10~15億円 1 宜野湾市
5~10億円 2 那覇市、北中城村
1~5億円 6 与那城町、知念村、勝連町、国頭村、石川市、東村
1億円以下 9 石垣市、豊見城市、本部町、中城村、東風平町、具志頭村、佐敷町、渡名喜村、久米島町

 

「別表第5」

基地関係収入内訳

基地交付金 基地関係の財産運用収入 基地周辺整備補助金 その他の補助・委託金 合 計
65 94 99 121 378

単位:億円


 

「別表第6」

2002年度(平成14年度)財政指標

(単位:千円、%)

市町村名 財政力指数 経常収支比率 経常一般財源比率 公債費比率
那覇市 0.627 88.3 100.0 17.7
石川市 0.456 93.3 101.9 12.3
具志川市 0.428 84.5 103.9 16.5
宜野湾市 0.525 81.3 102.6 14.5
平良市 0.354 95.0 98.4 19.2
石垣市 0.343 86.9 99.4 20.6
浦添市 0.655 80.4 99.4 14.0
名護市 0.407 89.2 111.6 20.1
糸満市 0.377 97.0 98.9 17.2
沖縄市 0.460 84.4 109.5 14.6
豊見城市 0.418 90.2 99.3 15.7
国頭村 0.233 84.2 99.9 19.3
大宜味村 0.130 88.2 100.4 14.1
東村 0.157 85.7 105.6 8.8
今帰仁村 0.176 88.6 99.9 13.5
本部町 0.234 89.7 99.3 13.1
恩納村 0.510 83.0 146.6 7.7
宜野座村 0.248 87.5 161.8 18.9
金武町 0.221 78.2 149.9 13.0
伊江村 0.154 87.6 103.1 13.2
与那城町 0.316 89.6 98.3 13.3
勝連町 0.206 85.2 102.5 14.0
読谷村 0.395 85.2 112.9 12.6
嘉手納町 0.352 77.2 141.6 9.5
北谷町 0.441 83.0 121.4 18.1
北中城村 0.419 84.7 106.2 11.7
中城村 0.353 88.7 100.1 11.1
西原町 0.521 81.4 99.9 13.6
東風平町 0.303 89.2 100.6 14.4
具志頭村 0.247 95.5 95.8 25.1
玉城村 0.255 89.7 100.2 16.1
知念村 0.172 89.8 100.7 18.6
佐敷町 0.255 92.2 99.1 18.0
与那原町 0.358 90.7 99.4 14.8
大里村 0.298 96.4 99.3 13.7
南風原町 0.467 86.9 97.0 16.5
渡嘉敷村 0.092 93.1 101.4 11.9
座間味村 0.084 88.6 101.9 17.7
粟国村 0.083 93.2 100.5 18.3
渡名喜村 0.064 94.0 103.0 11.3
南大東村 0.130 94.7 99.9 17.3
北大東村 0.122 97.0 98.9 15.6
伊平屋村 0.094 92.8 103.9 19.1
伊是名村 0.099 106.9 100.8 37.3
久米島町 0.179 85.9 103.0 13.1
城辺町 0.140 86.2 98.9 13.0
下地町 0.163 87.6 101.8 10.8
上野村 0.189 97.6 95.5 30.0
伊良部町 0.158 91.3 99.4 20.0
多良間村 0.113 78.1 101.1 16.5
竹富町 0.276 80.6 105.2 7.9
与那国町 0.134 93.0 100.1 16.7
市計 0.510 / 0.461 87.1 / 88.2 102.3 16.6
町村計 0.280 / 0.235 86.9 / 88.7 106.3 15.5
市町村計 0.421 / 0.279 87.1 / 88.6 105.4 15.8
一部事務組合 76.7 / 95.2
合計 0.421 / 0.279 86.3 / 91.0 105.4 15.8

 

(注1) 経常収支比率及び財政力指数の計欄の左の数値は加重平均、右の数値は単純平均。
沖縄県地域離島振興局市町村課「市町村行政財政概況(平成16年1月)」より


 

一方、財政力指数は、標準的な行政活動を行うのに必要な財源をどのくらい自分で調達できるかという財政基盤の強さを示す指標であるが、基地所在の有無にあまり関係はなく、都市部やリゾート地などが上位を占めている。

このように、基地所在市町村は、基地のない市町村に比べ、財源が豊かで財政構造も弾力的な構造になっている。

逆に言えば、もし、これらの基地関係収入が大幅に減少又はゼロになった場合には、財政に大きな打撃を被ることとなる。ゆえに、基地依存の財政体質からの脱却は、県下基地所在市町村にとって大きな課題の一つであるという指摘はもっともである。

以上見てきたように、基地関係収入は、基地所在市町村の財政にとって、基地の所在しない市町村がうらやむほど大きな比重を占めているが、それでも上位の数市町村以外は現在の財政逼迫の状況を乗り越えるほどの、基地関係収入が確保されているわけではない。また、基地返還も視野に入れた対応を考えている市町村が多い。

そのことから、基地所在市町村にとっても、三位一体改革の行方が最大の関心事であり、あわせて、市町村合併が検討課題の筆頭にあることは否めない。

また、市町村には、「いつまでも米軍基地に頼っていいか、そのうち基地返還はある」ということと、「基地のない平和な村」が理想だと考えている市町村長も多いが、基地関係収入でむらづくりをしている現実の前では、なかなか難しい。一方、膨大な基地を前にして、基地返還は現実にならない、と考えている市町村長もある。

なお、基地が返還された場合、その返還跡地の有効利用には、莫大な金額と長期間を要するという大問題があり、返還跡地の総合利用計画、それに基づく事業実施など、国の支援が必要となる。

沖縄県にとっては、軍用地の返還がない限り戦後は終わらない、とも言えるのではないか。

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