跡地問題の現状と課題/一般社団法人沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連)

沖縄の軍用地に関する問題解決、地主の財産権の擁護及び福利増進を行っています。

土地連連絡先

跡地問題の現状と課題

復帰後において相当規模の基地返還はあったものの、米軍専用施設については、依然として全国の約75%が存在している。他府県においては類を見ない高い密度で基地が維持されているだけでなく、その3分の2は民公有地であるため、国有地が9割を占める本土とは大きく異なる特殊性を有しているのが現状である。米軍の抑止力で安全が維持されている今日において、日本の安全保障は沖縄県で負担しているといっても過言ではない。

復帰後23年を経過した平成7年(1995年)、軍用地問題のいくつかについてはその都度解決をみてきているが、今なお位置境界未確定事案や返還後の措置事案等の問題が課題として残されている。その中でも、軍用地の返還に伴う跡地の有効かつ早期による利用は大きな課題の一つである。

返還後の跡地利用が遅延する主な要因は、①返還の在り方(細切れ返還、返還時期の不明さ)、②原状回復時の問題(不発弾、有害物質の検出及び除去期間)、③跡地利用計画の遅れ、④跡利用事業に必要な財政の問題(公共施設用地取得に要する市町村の財政負担など)、⑤跡地利用計画における関係地主の合意形成の遅れなどが挙げられる。特に、中部地域に所在する基地のほとんどが私有地で占められていることから、合意形成を促進するうえでも、返還による関係地主の不安(使用収益までの補償、遊休期間の短縮を図るための財政支援等)を払拭するに必要な制度的措置を講じるべきである。

土地連の悲願であった、「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特例措置に関する法律」が、平成7年5月9日の衆議院本会議、5月19日の参議院本会議において可決・成立し、6月20日に施行された。この法律の制定によって、管理費3ヶ月分という従来の補償期間が、最長で給付金3年分支給されるようになったことは大きな前進として評価された。

問題は、日米間で合意返還された軍用地が、従来のような長期(平均14年3ヶ月)にわたる遊休期間を生ずることがあってはならないし、また、関係地主にいささかの不利益を与えることのない跡利用計画を実施していかなければならないことである。このことを踏まえた上で、跡地利用に係る遅延要因を解消し、円滑な促進を図るための諸制度の見直しと財政的支援措置は、欠かせない課題である。

旧ソ連の崩壊(1991年)によって東西の冷戦構造が終結し、また、基地の過重負担の軽減が県民の総意であることから、政府の方針として軍用地の返還は実施されてくる。したがって、基地の返還は決して避けて通れない現実的問題である。関係地主はそのことを真正面から受け止めて、基地の返還に向けた跡地利用を考えていかなければならない。また、関係当局もそのための制度整備を充実していかなければならない。狭隘な県土にあって、「基地」は、発展の可能性を秘めた貴重な空間であるからである。

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